【事例で分かる】事実婚・同棲中のパートナーを守るには?「遺言書」でトラブルを防ぐ方法

遺言_パートナー 遺言・相続

伊丹市周辺にお住まいの事実婚や同棲中の皆様、大切なパートナーとの未来を真剣に考えていますか? 従来の“家族”の枠に収まらない関係性も大切にされる時代になっていますが、法的な婚姻関係にない場合、もしものことがあった時に、パートナーの生活や財産が守られない可能性があることをご存知でしょうか。今回は、架空の事例を交えながら、事実婚・同棲カップルにとって遺言書がいかに重要であるかを行政書士の視点から解説します。

伊丹市に暮らす田中さんと鈴木さんのケース

伊丹市に暮らす田中一郎さん(50代・会社員)と鈴木花子さん(50代・フリーランスデザイナー)は、結婚はせずに15年間連れ添ってきた事実婚カップルです。二人は共働きで、生活費やレジャー費は共有の銀行口座から支出しています。現在住んでいる一戸建ての家は一郎さんの名義で購入しましたが、頭金の一部は花子さんも負担しました。また、一郎さん名義の預貯金や株式といった金融資産も少なからずあります。一郎さんには高齢の母親と、西宮市に住む弟が一人います。花子さんには親族はいますが、長年疎遠です。 二人は「お互いが元気なうちは、遺言書なんてまだ早い」と考えていましたが、ある日一郎さんが突然倒れてしまいました。幸い一命は取り留めたものの、意識が回復しない状態が続いています。このような状況で、もし一郎さんが亡くなった場合、何が起こるでしょうか。

法的婚姻関係がない場合の「もしも」が招く現実

相続_パートナー

田中さんと鈴木さんのように、事実婚や同棲関係の場合、パートナーは原則として法律上の「相続人」にはなれません。つまり、一郎さんが遺言書を残していなければ、一郎さんの財産は、法定相続順位に従って母親や弟に相続されます。

この場合、以下のような問題が生じる可能性があります。

パートナーが財産を受け取れない

花子さんが長年一郎さんと築き上げてきた財産、また頭金の一部を負担した家であっても、法律上は一郎さんの母親や弟が相続人となるため、花子さんは一切の財産を受け取ることができません

相続手続きが複雑化・長期化

一郎さんに遺言書がない場合、一郎さんの母親と弟が法定相続人となります。不動産の名義変更や預貯金の解約といった相続手続きを進めるには、法定相続人全員による「遺産分割協議」が必要となり、全員の合意と署名・実印、印鑑証明書が求められます。もし、一郎さんの母親や弟と花子さんの間で意見の対立や感情的なしこりがあった場合、話し合いがまとまらず、手続きが何ヶ月、何年とストップしてしまうこともあり得ます。

家の明け渡しを迫られる可能性

一郎さん名義の家に住む花子さんは、法律上の権利がないため、相続人から家の明け渡しを要求される可能性も否定できません。長年暮らした家を突然失うことになりかねないのです。

遺言書がパートナーを守る「最良の選択」

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もしもの時に大切なパートナーを守るために、遺言書は非常に有効な手段です。遺言書を作成することで、以下のようなメリットがあります。

パートナーへの財産遺贈

一郎さんが遺言書を作成していれば、法定相続人ではない花子さんに対して、自宅不動産や預貯金といった財産を「遺贈」という形で渡すことができます。これにより、花子さんは経済的な不安を抱えることなく、生活を継続できます。

※遺留分に配慮する必要はあります。

争族の回避

遺言書で財産の分け方を明確に指定しておくことで、法定相続人である一郎さんの母親や弟との間で遺産分割を巡る争い(争族)を未然に防ぎやすくなります。遺言は、被相続人の最終的な意思表示として法的効力を持つため、原則として遺言の内容に従って財産が分けられます。

相続手続きの円滑化

遺言書があれば、遺産分割協議が不要となり、相続手続きを円滑に進めることができます。特に、連絡が取りにくい相続人や判断能力がない相続人がいる場合でも、手続きの滞りを防ぐことができます。

遺言執行者の指定

遺言書で「遺言執行者」を指定しておけば、その人が単独で遺言の内容を実現するための手続き(預貯金の解約、不動産の名義変更など)を行うことができます。これにより、関係性の複雑な相続人全員の同意を得る手間が省け、手続きの負担が大幅に軽減されます。遺言執行者は、相続人でも家族でも、あるいは弁護士、司法書士、行政書士などの専門家を指定することができます。

遺言書の種類と特徴

遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

自筆証書遺言

遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印することで作成します。

【メリット】

  • 手軽に作成できる
    紙とペンと印鑑があれば、いつでもどこでも作成できます。

  • 費用がかからない
    作成自体に費用はかかりません。

  • 内容を秘密にできる
    誰にも内容を知られることなく作成できます。

  • 財産目録の緩和
    2019年1月13日以降に作成された遺言では、財産目録の部分はパソコンで作成し、各ページに署名・押印することで有効とされます。

  • 法務局保管制度
    2020年7月10日からは、作成した自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が始まりました。この制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクを防ぎ、死後の家庭裁判所による「検認」手続きも不要になります


【デメリット】

  • 無効になるリスクが高い
    民法で定められた厳格な要件(全文自書、日付、氏名、押印など)を満たさないと、無効になる可能性があります。日付の記載が不正確だったり、印鑑が押されていなかったりするミスは非常に多いです。

  • 内容の不備
    自己流で書いた場合、財産の特定が曖昧だったり、遺言の内容に矛盾があったりすると、相続手続きに支障が出たり、遺言の一部が無効になったりする可能性があります

  • 紛失・改ざん・未発見のリスク
    法務局保管制度を利用しない場合、遺言者が保管するため、死後に発見されなかったり、紛失・隠匿・改ざんされたりするリスクがあります。

  • 検認手続き(法務局保管制度を利用しない場合)
    遺言者の死後に家庭裁判所で「検認」手続きを経る必要があります。これは遺言書の有効性を判断するものではなく、遺言書の状態を確定する手続きです。

公正証書遺言

公証役場で公証人が作成し、その原本を公証役場が保管する遺言書です。

【メリット】

  • 高い確実性
    公証人が関与して作成するため、様式の不備による無効となるリスクはほとんどありません。公証人が法律的な観点から内容をチェックし、明確な文章を作成してくれます。

  • 紛失・改ざんの心配がない
    原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。

  • 検認が不要
    相続開始後の家庭裁判所での「検認」手続きが不要です。これにより、相続手続きを迅速に進めることができます。

  • 自書不要
    遺言者が内容を口頭で伝えればよく、自分で手書きする必要がないため、身体が不自由な方でも作成可能です

  • 検索制度
    相続人は全国の公証役場で遺言書の有無を検索できます。

【デメリット】

  • 費用がかかる
    公証役場の手数料や、専門家に依頼する場合はその報酬が発生します。遺産の額や相続人の人数によって費用は異なり、数万円から数十万円と、状況や各士業事務所等によっても大きく異なってきます。
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  • 証人が必要
    2名以上の証人の立ち会いが必要です。証人には未成年者や推定相続人、受遺者とその配偶者・直系血族などはなれません。お願い出来る方がいなければ、公証役場でも紹介してもらえます。

  • 内容が知られる
    公証人や証人に遺言の内容を知られることになります。

  • 作成に時間がかかる
    事前の相談や必要書類の収集、予約などが必要なため、作成までに数週間から数ヶ月かかる場合があります。

専門家への依頼が安心な理由

行政書士_遺言相談

伊丹、尼崎、西宮、宝塚、川西といった地域で、もしもの時に備えて遺言書の作成を考えているのであれば、当事務所などの専門家にご相談いただくことを強くお勧めします

専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  • 法的要件の遵守
    自筆証書遺言の形式的な不備や、公正証書遺言作成に必要な手続きなど、法律で定められた要件を確実に満たすようサポートします。

  • トラブルの防止
    相続に関する専門知識に基づき、将来起こりうるトラブル(遺留分侵害額請求など)を予測し、それを回避するための遺言内容をアドバイスします。例えば、一郎さんの母親が健在であれば、一郎さんの母親には遺留分があるため、遺言書で花子さんに全財産を遺贈した場合、母親から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。このようなケースも考慮した遺言書の作成をサポートします。

  • 遺言執行者の選任サポート
    遺言執行者として専門家を指定することで、遺言内容の実現をより確実かつスムーズに行うことができます。特に、一郎さんの事例のように法定相続人とパートナーとの関係が複雑な場合、中立的な立場である専門家が執行者となることで、公平な手続きが期待できます。

  • 必要書類の収集
    公正証書遺言の作成には、戸籍謄本、不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書、預貯金通帳のコピーなど、多岐にわたる書類が必要です。これらの煩雑な書類収集も専門家が代行することで、ご依頼者様の負担を軽減します

まとめ

遺言_パートナー_準備

従来の“家族”の枠に収まらない関係性も大切にされる時代です。だからこそ備えておかなければならないことがあります。

田中さんと鈴木さんのように、事実婚や同棲関係にあるカップルにとって、遺言書は単なる財産分与の書面ではなく、大切なパートナーの生活と将来を守るための「愛の証」であり、最良の備えとなります。万が一の事態に備え、パートナーに安心して暮らしてもらうためにも、遺言書の作成を真剣にご検討ください。

当事務所では、伊丹、尼崎、西宮、宝塚、川西をはじめとする地域の皆様の遺言書作成をサポートしています。どのような内容を遺言書にしたいのか、どのような手続きが必要なのか、親身になってご相談に応じます。遺言書作成は、複雑なケースが多く、専門的な知識が不可欠です。まずは一度、お気軽にご相談ください。

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