【事例で分かる】【前妻に子がいる場合の相続】伊丹・尼崎・西宮周辺で起こりがちな「争族」を回避する遺言書の重要性
相続は、誰にとっても一生に一度あるかないかの大きなイベントです。しかし、家族構成が多様化する現代において、「うちには関係ない」と思っていても、思わぬトラブルに発展するケースが少なくありません。特に、前妻との間にお子さんがいらっしゃる場合、遺言書がないと、残されたご家族が大変な思いをすることになる可能性があります。
今回は、伊丹市周辺(伊丹・尼崎・西宮・宝塚・川西など)にお住まいの皆さまに起こりうる事例を挙げながら、遺言書の必要性について行政書士の視点から詳しく解説していきます。
「もしも」の相続トラブル事例
伊丹市に住む田中さんの事例
伊丹市に住む田中太郎さん(仮名60歳)は、数年前に再婚し、現在の妻である花子さん(55歳)との間に美代さん(20歳)という娘がいます。太郎さんには前妻との間に生まれた長男の健太さん(35歳)もいますが、離婚後すぐに疎遠になり、現在は連絡先も不明な状態です。 太郎さんの主な財産は、花子さんと暮らす伊丹市の自宅不動産(評価額3,000万円)、A銀行の預貯金(2,000万円)、B証券会社の株式(1,000万円)です。太郎さんは「自宅は花子に、預貯金は美代に、株式は健太にも均等に渡したい」と考えていましたが、まさか自分が急に亡くなると思わず、遺言書を書いていませんでした。 ある日、太郎さんが突然の病で他界してしまいました。残された花子さんと美代さんは、悲しみに暮れる中、相続手続きを進めることになります。
遺言書がない場合に田中家が直面した「困った」状況

遺言書がない場合、太郎さんの財産は法定相続人全員による「遺産分割協議」を経て、誰がどの財産をどれだけ受け取るかを決めなければなりません。この協議には、太郎さんの法定相続人である花子さん、美代さん、そして前妻の子である健太さん全員の同意が必要となります。
遺産分割協議ができない?!行方不明の相続人
まず、花子さんと美代さんは健太さんの連絡先を探すことから始めなければなりません。音信不通の状態が長く続いていたため、健太さんの現在の住所や連絡先を特定するのは非常に困難です。戸籍謄本を収集して調査を進めることになりますが、これには時間と労力がかかります。
もし健太さんの行方が分からない場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てるか、「失踪宣告」を行う必要があります。これらの手続きはさらに時間と費用を要し、相続手続きが大幅に遅れてしまいます。
預貯金や不動産の手続きが進まない
遺産分割協議は法定相続人全員の同意が必要です。全員が署名・捺印した「遺産分割協議書」と、全員分の「印鑑証明書」がなければ、預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きを進めることができません。
太郎さんのケースでは、健太さんの協力が得られない限り、花子さんが自宅を単独で相続することも、美代さんが預貯金を受け取ることも困難になります。結果として、家族の生活にも支障が出かねません。
感情的な対立と「争族」のリスク
遺言書がない場合、たとえ財産が少なくても相続人同士の感情的な対立から「争族」に発展することは珍しくありません。
太郎さんの事例では、花子さんや美代さんにとって、長年音信不通だった健太さんに財産を分けることに抵抗があるかもしれません。また、健太さん側も、自分だけが疎遠にされていたという思いから、他の相続人に対して強く権利を主張する可能性があります。
遺産分割協議で意見がまとまらない場合、家庭裁判所での「遺産分割調停」や「審判」に移行し、解決まで数年かかることもあります。これにより、残された家族は精神的にも経済的にも大きな負担を抱えることになります。
遺留分侵害額請求の可能性
太郎さんは「健太にも均等に」と考えていましたが、もし花子さんや美代さんに多くの財産を相続させたいという意向があったとしても、前妻の子である健太さんにも「遺留分」という最低限の相続分が法律で保障されています。
例えば、太郎さんの財産を全て花子さんと美代さんに渡すという遺言があったとしても、健太さんは自身の遺留分に相当する金銭を請求する権利があります。遺言書でこの遺留分に配慮しない内容にすると、後々「遺留分侵害額請求」が発生し、トラブルになるリスクがあります。
遺言書があれば田中家は「安心」できた!遺言書の大きなメリット

もし太郎さんが生前に遺言書を作成していれば、上記のような問題の多くを回避し、残された家族がスムーズに、そして安心して手続きを進めることができました。
遺産分割協議が不要になる
遺言書がある場合、原則としてその遺言書の内容に従って遺産が分けられます。相続人全員での遺産分割協議は不要となり、行方不明の相続人がいても手続きを進めることが可能です。
太郎さんの場合、自宅は花子さん、預貯金は美代さん、株式は健太さんと明確に指定されていれば、各自がスムーズに財産を受け取ることができました。
特定の財産を明確に指定できる
遺言書では、特定の財産を特定の相続人(または相続人以外の人)に承継させることができます。太郎さんが「自宅は花子に」と望んでいれば、遺言書でその旨を明記することで、花子さんが確実に自宅を相続できたでしょう。これは、事業を営んでいる方が後継者に事業用財産を継がせたい場合にも非常に重要です。
また、遺言書に記載されていない財産(後から取得した財産など)があった場合に備えて、「その他の財産は全て誰に相続させる」といった包括的な指定をしておくことで、財産の漏れを防ぎ、改めて遺産分割協議を行う必要がなくなります。
遺言執行者を指定して手続きをスムーズに
遺言書の中で「遺言執行者」を指定しておくことで、相続手続きを単独でスムーズに進めることができます。遺言執行者は、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理や預貯金の解約、不動産の名義変更、株式の名義変更など、一切の行為を行う権限を持ちます。
もし太郎さんが遺言執行者を指定していれば、健太さんの協力が得られなくても、遺言執行者が単独で各財産の名義変更や送金手続きを行い、太郎さんの遺志を実現することができました。これにより、残された花子さんや美代さんの手続き上の負担は大幅に軽減されたでしょう。
遺言執行者が指定されていない場合、相続人や利害関係人が家庭裁判所に申し立てて選任してもらう必要がありますが、これには時間と費用がかかります。
遺言書の種類と行政書士のサポート
遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
自筆証書遺言の注意点と「保管制度」の活用
自筆証書遺言は、その名の通り遺言者本人が全文、日付、氏名を自書し、押印することで作成できます。費用がかからず手軽に作成できる点がメリットですが、形式不備による無効のリスクや、紛失・改ざんの恐れがあるという大きなデメリットがあります。特に、素人が作成した自筆証書遺言の多くは、何らかの不備を抱えていることが多いと言われています。
例えば、不動産の特定方法が住所表記になっている、預貯金の口座番号が曖昧である、日付が「〇月吉日」のように曖昧である、財産目録の署名押印漏れ など、些細なミスで無効となる可能性があります。
しかし、2020年7月からは法務局で自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。この制度を利用すると、遺言書の紛失や改ざんが防げるだけでなく、家庭裁判所の検認手続きが不要になるという大きなメリットがあります。ただし、法務局は形式面しかチェックしないため、内容の不明瞭さや矛盾については注意が必要です。
最も確実な公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思に基づき作成し、原本を公証役場で保管する遺言書です。この形式の最大のメリットは、形式不備で無効になるリスクが極めて低いことです。また、公証役場で原本が保管されるため、紛失、改ざん、隠匿の心配がなく、相続開始後の検認手続きも不要です。
公正証書遺言の作成には、公証人の手数料と2名以上の証人が必要となります。費用はかかりますが、相続トラブル防止や手続きのスムーズさを考慮すると、最も確実で推奨される方法です。
行政書士に相談するメリット
相続は、戸籍収集、財産調査、遺産分割協議書の作成、名義変更など、多岐にわたる複雑な手続きを伴います。特に、前妻との間にお子さんがいらっしゃるような複雑なケースでは、専門的な知識と経験が不可欠です。
私たち行政書士は、遺言書作成において以下のようなサポートを提供できます。
- 遺言内容のアドバイス
太郎さんの事例のように、現在の家族関係や財産状況を詳細にヒアリングし、「誰にどの財産をどれだけ渡したいか」というご希望を、法的に有効な形で遺言書に落とし込むサポートをします。遺留分への配慮など、将来のトラブルを防ぐための助言も行います。 - 自筆証書遺言の形式チェック
自筆証書遺言を作成する場合でも、形式要件を満たしているか、内容が不明瞭でないかを詳細に確認し、無効になるリスクを最小限に抑えます。法務局保管制度の利用についても支援します。 - 公正証書遺言の作成サポート
公正証書遺言の作成に必要な書類の収集や公証人との事前打ち合わせを代行し、作成手続きを円滑に進めます。証人の手配もご相談いただけます。 - 遺言執行者としての就任
遺言書で私たち行政書士を遺言執行者に指定していただくことも可能です。中立的な第三者である専門家が遺言執行者となることで、相続人同士の感情的な対立を避け、太郎さんの遺志を確実に実現することができます。これによりご家族が大切な手続きで困ることはなくなるでしょう。
まとめ:大切なご家族のために、遺言書作成を今すぐご検討ください

田中太郎さんの事例からもわかるように、前妻との間にお子さんがいらっしゃる場合、遺言書がないと相続手続きは非常に複雑化し、時間と費用、そして何よりも残されたご家族の心に大きな負担をかけてしまいます。
「いつか書こう」「まだ早い」と思っているうちに、不慮の事態が起こらないとも限りません。遺言書はいつでも、何度でも書き直しが可能です。財産状況や家族関係の変化に応じて、その都度見直すこともできます。
伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市など、兵庫県阪神間に在住の皆様が、将来「争族」で苦しむことのないよう、ぜひ元気なうちに遺言書作成をご検討ください。
当事務所は、相続に特化した行政書士として、皆さまの大切なご家族のために、最適な遺言書作成のサポートをさせていただきます。お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。




