身寄りのない方も安心!成年後見制度を活用した老人ホーム選びの全て ~伊丹市周辺で考える未来~
「将来、もしも自分に介護が必要になったら、どうすればいいのだろう?」 そう漠然とした不安を感じている方は少なくないはずです。特に、身寄りのない方にとっては、老人ホームの選び方や入居手続きは、より一層大きな課題となり得ます。今回は、事例を交えながら、身寄りのない方が安心して老人ホームに入居するためのポイントと、その有効な手段である成年後見制度について考えてみましょう。
事例
田中さんの悩み:伊丹市で迎える老後と「身元保証人」の壁
伊丹市に暮らす田中さん(78歳・仮名)は、長年連れ添った奥様を数年前に亡くし、お子様も親戚も遠方に住んでおり、日々の生活は一人でこなしていました。しかし最近、体力の衰えと物忘れが気になるようになり、「もしこのまま一人で生活できなくなったら…」と不安を感じ始めていました。できれば伊丹市や隣の尼崎市、西宮市あたりで安心して暮らせる老人ホームを見つけたいと考えています。 老人ホームについて調べ始めると、すぐに大きな壁にぶつかりました。多くの老人ホームでは、入居時に「身元引受人」や「身元保証人」を求められるのです。田中さんのように頼れる家族がいない場合、この条件を満たすことが非常に困難になります。また、将来、認知症が進んだり、医療的ケアが必要になったりした場合、誰が財産を管理し、必要な契約手続きを行ってくれるのか、という不安も募ります。
老人ホーム選び、身寄りの有無にかかわらず押さえたいポイント
身寄りのない方にとっても、老人ホーム選びの基本的なポイントは共通しています。
地域(立地)
ご本人の希望を優先し、大きく環境が変わることで戸惑わないよう無理のない地域を選びましょう。ご家族やご友人との面会がしやすいかどうかも重要です。田中さんの場合は、慣れ親しんだ伊丹市、あるいは近隣の尼崎市や西宮市、宝塚市、川西市といった近隣地域で探すのが良いのではないでしょうか。駅近やスーパーが近いなどアクセスが良い所は、入所後も外出の機会を持ちやすいといったメリットがあります。
費用
入居一時金や月額費用、実費負担などを確認し、無理のない資金計画を立てることが重要です。特に田中さんのように長期的な入居を想定する場合、年金収入で賄える範囲かどうかが鍵となります。ある程度の貯金や売却できる不動産を持っているなどであれば、必ずしも年金収入内で抑える必要もないでしょう。
介護体制・医療体制
要介護度が上がった場合や、医療行為が必要になった場合でも住み続けられるか、看護職員の配置状況(24時間配置の有無など)や医療機関との連携などを確認しましょう。
終の棲家と考える方も多いでしょうから、看取りの体制があるのかというところも重要です。
施設の雰囲気・スタッフの質
実際に施設を見学し、施設の明るさや清潔さ、匂い、入居者やスタッフの様子(対応や言葉遣い)など、五感で感じ取ることが大切です。スタッフの質は、提供されるサービスの満足度を大きく左右し、ホームの住み心地を大きく左右します。
周りの評価で決めるのではなく、実際にあなたが見て、感じて、選ぶことが大切です。
食事
食事の提供はどのようにされているのかといったこともチェックしましょう。配食なのか、手作りなのか、どのようなメニューが提供されているのか。食事は生活の満足度を高める重要な要素です。
退去条件
要介護度が上がった場合や認知症が進んだ場合、医療依存度が高まった場合、長期入院した場合でも住み続けられるかを確認しておくことが、終の棲家としたい場合には特に重要です。
これらのポイントは、パンフレットやウェブサイトだけでは分かりづらいことも多いため、見学(できれば複数回)、可能であれば体験入居を検討することをお勧めします。
身寄りのない方の強い味方「成年後見制度」

田中さんのような身寄りのない方が老人ホームに入居する上で、成年後見制度は非常に有効な手段となり得ます。成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由により判断能力が不十分になった方を保護・支援する制度です。この制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の二種類があります。
法定後見制度とは
本人の判断能力がすでに低下している「後」に、家庭裁判所への申し立てによって利用する制度です。判断能力の衰え度合いに応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があり、裁判所が成年後見人を選任します。
任意後見制度とは
本人が元気で判断能力がある「前」に、将来に備えて任意後見人を選び、委任する内容を公正証書で契約しておく制度です。実際に判断能力が低下した際に、任意後見受任者などが家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人が選任されることで契約の効力が発動します。
成年後見制度がもたらす安心のメリット

身寄りのない方が成年後見制度を活用することには、複数の大きなメリットがあります。
身元保証人・身元引受人問題の解決
成年後見人が、老人ホームの入居契約や病院の入院契約といった法律行為を本人に代わって行うことができるため、多くの施設で求められる身元保証人の役割を事実上果たすことが可能になります。これにより、田中さんのような「身元保証人の壁」を乗り越えられます。
財産管理の徹底
成年後見人は、本人の預貯金、有価証券、不動産などの財産を厳格に管理・運営します。これにより、詐欺被害や悪質な訪問販売から大切な財産を守り、介護費用や生活費、医療費などの支払いを適切に行うことができます。
医療・介護サービスの契約代行
入院契約や高齢者施設への入所契約、医療や介護に関する必要な法律行為を、本人の意思や身体状態に応じて代行します。これにより、本人に代わって適切なサービスを選択し、契約を締結することが可能になります。
本人の意思の尊重
任意後見制度では、本人が元気なうちに自らの意思で支援者(任意後見人)や支援内容を決められます。これにより、「どのような老後を送りたいか」という本人の希望が反映されやすくなります。
法定後見人も本人の意思決定支援を行いますが、認知機能が低下している方の意思を十分に汲み取るのは難しいのです。(もちろん専門職は本人の意思が反映されるよう最大限の努力はします。)
お元気なうちに本人が支援者にきちんと意思を伝えておくことで、より一層本人の意思が反映されるのです。
継続的な見守り・生活支援(任意後見の付随契約)
任意後見契約と合わせて、財産管理契約や見守り契約を結ぶことで、判断能力が低下する前から、定期的な訪問や健康状態の確認といった生活支援を受けることも可能です。
成年後見制度のデメリットと注意点

一方で、成年後見制度には注意すべき点も存在します。
費用の発生
成年後見人(特に社会福祉士や行政書士、弁護士や司法書士などの専門家が選任された場合)には、管理財産額に応じて月額で2万円程度~の報酬(資産により変動)が発生します。また、任意後見制度を利用する場合でも、任意後見監督人への月額報酬(1万〜3万円程度)が必要です。これらの費用は、本人が死亡するまで継続するため、長期的な負担となり得ます。
財産管理の自由度の制限
成年後見制度が開始されると、本人の財産は厳格に管理され、本人の利益保護が最大の目的となります。そのため、家庭裁判所の管理のもと、相続税対策としての生前贈与、生命保険の契約、積極的な投資活動などは原則として行えなくなります。
家庭裁判所の関与
法定後見制度はもちろん、任意後見制度においても、任意後見監督人の選任など家庭裁判所の関与があります。これにより、手続きに時間がかかったり、後見人の選任が必ずしも本人の希望通りになるとは限らなかったりする場合があります。
事実行為の制限
成年後見人の役割は「法律行為」の代行であり、実際の介護や買い物代行といった「事実行為」は職務の範囲外です。これらは別途、専門の業者などに依頼する必要があります。
一度開始すると原則として本人が死亡するまで辞められない
成年後見制度は、一度利用を開始すると、原則として本人が死亡するまで終了しません。
後見人の辞任には「正当な事由」と「家庭裁判所の許可」が必要です。
成年後見制度以外の選択肢:財産管理事務委任契約
本人の判断能力がまだ十分な段階であれば、「財産管理事務委任契約」も有効な選択肢となります。この契約は、本人が希望する代理人(ご家族や専門家)に、財産管理や生活に必要な事務手続きを委任するものです。契約内容や権限範囲を自由に設定できるため、「預金の一部だけ管理してほしい」といった柔軟な対応が可能です。元気なうちから財産管理を任せたい場合や、将来の任意後見制度への移行を見据えた「見守り契約」として活用することもできるでしょう。
まとめ:専門家と共に、安心できる老後を

田中さんのように身寄りのない方が老人ホームを探す際、身元保証人や財産管理、将来のケア体制への不安はつきものです。しかし、成年後見制度を適切に活用することで、これらの不安を解消し、安心して老後を送ることが可能になります。特に、ご自身の意思が明確なうちに任意後見契約を締結することは、将来の安心への大きな一歩となるでしょう。
ただし、成年後見制度のメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に最適な選択をするためには、専門知識が必要です。行政書士などの生前対策の専門家に相談し、ご自身の希望に合ったプランを検討することが重要です。伊丹市周辺にも、多くの専門家がいますので、ぜひ一度相談してみてください。
安心できる老後を迎えるために、今から一歩を踏み出しましょう。


