任意後見で不安を解消?長女が語る、認知症の母の介護

認知症_介護 成年後見・任意後見・終活

親御さんの介護、特に認知症の進行と向き合うことは、多くのご家族にとって計り知れない負担と不安を伴います。もしあなたが主介護者として、その重責を担っていらっしゃるなら、「この先どうなるのだろう」というお気持ちを抱えることは自然なことです。伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市といった伊丹市周辺地域でも、高齢化が進む中で、このようなご家族のお悩みは多いです。

かつては「家族が行うもの」とされていた親の介護ですが、核家族化の進行や介護離職の問題など、社会全体で支える必要性が高まっています。その中で注目されているのが、福祉と司法の連携です。特に、法的トラブルの解決を支える司法分野と、日常生活を支える福祉分野の連携は、複雑化する介護の問題に対応するために不可欠となっています。

認知症の親の介護で直面する「5つの不安」

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親御さんが認知症になると、ご家族は様々な不安に直面します。特にその子どもとして介護を担う方が抱えやすい主な不安を挙げます。

1. 金銭的な負担と管理の難しさ

◦ 介護生活には、介護保険サービスの利用料や医療費、日々の消耗品(紙パンツやパット類)など、今まで必要なかった様々な費用が発生します。

◦ 民間の介護施設に入居する場合、月額十数万円以上かかります。
地域差もありますし比較的安価なところもありますが、月々20万円程度はかかると思って良いでしょう。

◦ 認知症が進行すると、ご本人が預貯金を引き出せなくなったり、不動産を売却できなくなったりする「資産凍結」のリスクがあります。

◦ 悪徳業者による詐欺被害など、金銭トラブルに巻き込まれるリスクも高まります。

2. 身体的・精神的な疲労と孤立

◦ 介護は重労働であり、腰痛などの身体的負担に加え、終わりが見えないプレッシャーから精神的に追い詰められることがあります。

◦ 「親だからこそ周囲に頼れない」「自分がやらなければ」という責任感から、一人で抱え込み、孤立しがちです。

◦ 介護離職は年間約10万人にも上ると言われ、仕事と介護の両立の難しさが社会問題となっています。

3. 介護に関する知識不足

◦ 認知症の症状や介護保険制度、介護サービスの種類について、正しい知識がないために「どうしたらいいか分からない」と悩む方が少なくありません。

4. 緊急時への対応の難しさ

◦ 遠距離介護の場合、急な体調不良や事故など、緊急時にすぐに駆けつけることが難しいという問題があります。

◦ 高齢者の一人暮らしでは、転倒や病気の発見の遅れ、孤独死のリスクも伴います。

5. 親族間の対立・相続トラブルへの懸念

◦ 介護の負担が特定の兄弟姉妹に偏ると、不公平感が生まれ、将来的な相続トラブルにつながる可能性も否定できません。

介護の「困った」を解決する「成年後見制度」

このような多岐にわたる課題を解決するための一つの選択肢が成年後見制度です。これは、認知症などで判断能力が不十分になった方の生活をサポートするための公的な制度です。

成年後見制度には、大きく分けて二つの種類があります。

  • 法定後見制度
    既に認知症などで判断能力が不十分になっている場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。後見人は、ご本人の財産管理や、入院・施設入所、介護サービス利用などの法律行為を代行します。また、ご本人が不利益な契約を結んでしまった場合に、これを取り消す権限もあります。
  • 任意後見制度
    ご本人の判断能力が十分なうちに、将来の財産管理や療養看護について、信頼できる人(任意後見人)に代理権を与えておく契約を結ぶ制度です。この契約は公正証書で作成され、ご本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力が発生します。

長女が後見制度で助けられた事例:伊丹市にお住まいのSさんのケース

以下は当事務所に相談された方の事例です。

Sさんは伊丹市にお住まいの50代の長女で、遠方に住む80代のお母様の介護に悩んでいました。お母様は一人暮らしを続けていましたが、物忘れが少し出てきている様子でした。さらに、銀行口座からの出金も身体的な理由から頻繁に行うことが難しくなり、生活費の管理に困っていました。Sさんは仕事もあり、頻繁に実家に帰ることも難しく、心身ともに疲弊していました。


Sさんは「母の物忘れが進んだらどうなるのか」「このままでは母の財産が守れない」と不安を感じ、当事務所にご相談くださいました。

面談日当日、Sさんの話を丁寧に聞き、お母様の現状とSさんの希望を整理しました。そして、お母様の判断能力がまだ残っていたため、任意後見制度を提案しました。

任意後見制度で解決できたこと

  • 信頼できる後見人の選任
    Sさんはお母様の信頼を得て、任意後見人となることにしました。事前にお母様と話し合い、お母様の「住み慣れたこの家で出来る限りは住み続けたいが、もしそれが難しくなってきたら海が見える施設に移りたい」という具体的な希望を任意後見契約書に盛り込むことにしました。これにより、将来的に施設へ入る際も、お母様の意思が尊重される安心感が得られました。 
    「法定後見制度」では自ら後見人を選ぶことは出来ないので、この点は任意後見制度の大きな利点だと言えます。
  • 財産管理の安定
    任意後見契約が発動した後、Sさんはお母様の銀行口座からの必要な生活費の引き出しや、高額な訪問販売の契約解除の手続きをスムーズに行うことができます。これにより、お母様の財産が適切に守られ、金銭的な不安が大幅に軽減されます。
  • 介護サービスの円滑な利用
    後見人として、介護保険サービスの申請手続きや、将来の介護施設入所に関する契約を代行できるようになりました。地域の地域包括支援センター(伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市などの各市町村に設置されています)とも連携し、ケアプラン(介護計画)の見直しや、訪問介護、デイサービス、ショートステイといった介護保険のサービス調整も行えるようになります。
  • 家族の精神的負担の軽減
    Sさんは「一人で抱え込まなくていい」という安心感を得ることができました。専門家のサポートにより、複雑な手続きや判断から解放され、Sさん自身の生活も大切にしながらお母様の生活を支えていくことが出来ます。

任意後見制度をより効果的に活用するための連携

任意後見制度は、単独で利用するだけでなく、他の制度や専門家との連携によってその効果を最大限に高めることができます。

  • 財産管理委任契約
    ご本人の判断能力がまだあるが、身体的な理由などで財産管理が困難な場合に利用します。任意後見契約とセットで利用することで、判断能力の低下前から、任意後見が開始するまでの「空白の期間」も財産管理を任せることが可能です(移行型任意後見契約)。
  • 見守り契約
    専門家が定期的にご本人と連絡を取り、判断能力の低下状況を確認する契約です。これにより、任意後見開始の適切なタイミングを逃さずに申し立てができます。
  • 死後事務委任契約
    成年後見人の職務はご本人の死亡で終了します。葬儀や納骨、医療費の精算、賃貸物件の解約など、ご本人の死後の事務手続きを代行してもらうための契約です。遺言書と併用することで、財産の分配と死後事務の両方を希望通りに進めることができます。
  • 地域包括支援センター
    伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市など、各市町村に設置されている高齢者の総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家が常駐し、介護予防、権利擁護、総合相談、ケアマネジメント支援など、多角的に高齢者の生活をサポートします。福祉サービス全般の相談や、ケアマネジャーや介護サービス事業者といった専門職への橋渡し役も担います。

専門家への相談が解決への第一歩

行政書士_社会福祉士_相談

認知症の親御さんの介護は、身体的・精神的、そして経済的な側面から、ご家族にとって非常に大きな負担となります。特に、法律や福祉の制度は複雑で、ご自身で全てを調べ、手続きを行うのは困難です。

行政書士は、任意後見契約や財産管理委任契約、死後事務委任契約などの公正証書作成サポート、法定後見制度の申立支援といった法的手続きの専門家です。また、社会福祉士は、福祉の専門知識を活かし、地域包括支援センターなどの福祉機関や介護サービス事業者との連携をサポートし、ご家族に寄り添った総合的な支援を提供します。

伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市にお住まいの方で、親御さんの介護や将来の不安を抱えている方は、ぜひ一度専門家にご相談ください。早期に相談することで、より多くの選択肢の中から、ご家族にとって最適な解決策を見つけ、安心して介護と向き合うことができるようになります。

一人で悩まず、私たち専門家と一緒に、親御さんとご自身の「安心」を築いていきましょう。

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