「なき後問題」の不安を「未来への贈り物」に!障害のある子のための任意後見制度、今から始める選択肢
障害のあるお子さんを持つ親御さん・兄弟姉妹にとって、「自分が亡くなった後、この子は一体どうなってしまうのだろうか」という不安は、常に心の中に存在する大きなテーマではないでしょうか。これを「親なき後問題」「なき後問題」と呼びますが、この問題に備え、お子さん・兄弟姉妹の尊厳ある生活を守るために、今からできることがあります。それが、成年後見制度、特に「任意後見制度」を検討することです。
伊丹市周辺(伊丹・尼崎・西宮・宝塚・川西)にお住まいの親御さん・兄弟姉妹の方の中にも、同じような悩みを抱えていらっしゃる方が多くいらっしゃるかと思います。今回は、障害のあるお子さんの未来を安心して託すための任意後見制度について、行政書士の立場からその重要性と、今から検討すべき理由をお伝えします。
障害のある子を持つ家族の共通の願い

家族の多くは、障がいをもつ本人が将来にわたって経済的に困窮することなく、安心して暮らせることを願っています。しかし、その障がいの程度によっては、ご自身で財産を管理したり、日常生活に必要な契約を結んだりすることが困難な場合があります。ご家族が元気なうちは生活をサポートできますが、ご家族も年を取り、身体能力や判断能力が低下した時、あるいは他界した後に、誰がその役割を担うのか、という点が大きな課題となります。
「なき後問題」に光を当てる成年後見制度
成年後見制度は、精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)により判断能力が不十分な方々を法律的に支援し、その権利を保護するための制度です。この制度は大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。
知っていますか?法定後見制度と任意後見制度の違い

この二つの制度は似ているようで、その利用のタイミングや内容に大きな違いがあります。
判断能力が低下してから選ぶ「法定後見制度」
法定後見制度は、本人の判断能力がすでに不十分になってから、家庭裁判所への申立てによって後見人等が選任される制度です。本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3類型があります。
法定後見制度の場合、後見人を選ぶのは家庭裁判所であり、親族が希望しても必ずしも選任されるわけではありません。弁護士や司法書士といった専門家が選任される実情もあります。後見人には包括的な代理権や取消権が与えられ、本人の権利を広範囲にわたって保護します。例えば、本人が誤って締結した不利益な契約を取り消すことが可能です。
しかし、もし親御さんが遺言を残さずに亡くなり、障害のあるお子さんが遺産分割協議に参加する必要が生じた場合、お子さんに十分な判断能力がなければ、家庭裁判所に後見等の申立てを行い、お子さんのために成年後見人を選任してもらう必要が出てきます。専門家が後見人になると、原則としてお子さんが亡くなるまで、お子さんの財産から毎月報酬を支払うことになります。
あなたの意思で未来に備える「任意後見制度」
これに対し、任意後見制度は、本人が十分な判断能力を持っている時に、将来の判断能力の低下に備えて、あらかじめ任意後見人となる人や、その人に委任する事務の内容(生活、療養看護、財産管理に関する事務)を契約で定めておく制度です。この契約は、公正証書によって作成する必要があります。
そして、実際に本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てることで、任意後見契約の効力が発生し、選任された任意後見人が本人を支援することになります。任意後見制度には、大きく分けて「将来型」「移行型」「即効型」の3種類がありますが、親御さんがお子さんのために計画的に準備する場合は「将来型」や「移行型」が特に有効な選択肢となります。
親御さんや兄弟姉妹が今すぐ任意後見制度を検討すべき理由
障害のあるお子さんを持つ親御さんや兄弟姉妹にとって、任意後見制度は「なき後問題」を解決し、お子さんの未来を安心して設計するための「未来への贈り物」となり得ます。
誰に任せるかを「親の意思」で決められる
任意後見制度の最大のメリットは、お子さんの支援を任せる人を親御さん自身が選べる点です。信頼できる親族(兄弟姉妹など)や、専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)を任意後見人として指名することで、お子さんが安心して生活できる環境を整えられます。これにより、家庭裁判所による一方的な選任で、お子さんとの相性が合わない専門家が就任する可能性を減らすことができます。
子どもに合わせた「きめ細やかなサポート」を実現
任意後見契約では、お子さんの個別の状況や希望に沿って、どのような財産管理や療養看護の支援を行うかを具体的に定めることができます。例えば、生活費の管理方法、介護施設の選択、医療に関する希望など、親御さんや兄弟姉妹の方が生前に行っていたきめ細やかなサポートを、契約内容として引き継ぐことが可能になります。
将来の「遺産分割トラブル」を未然に防ぐ
親御さんが遺言書を作成することで、お子さんの財産取得先を明確にし、遺産分割協議を不要にできます。これにより、お子さんの判断能力の有無に関わらず、相続手続きを円滑に進めることが可能になり、親族間の無用な争いを避けることができます。任意後見契約と遺言を組み合わせることで、生前から死後までの一貫したサポート体制を築くことができます。
任意後見制度の「注意点」と「対策」

任意後見制度は多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点も存在します。これらを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
取消権がないことへの理解
任意後見人には、本人が不利益な契約をしてしまった場合に、その契約を取り消す「取消権」がありません。これは法定後見人との大きな違いであり、本人が詐欺被害に遭った場合など、対応が難しいケースも考えられます。しかしこの対策としては、契約書に取消権行使の条項を明記することや、消費者契約法などの他の法律による保護を検討することができます。
監督人の選任と費用
任意後見制度では、任意後見監督人の選任が必須であり、その報酬が本人の財産から支払われます。報酬額は管理財産の額に応じて家庭裁判所が決定し、一般的には月額1~2万円程度とされています。無報酬で任意後見人を依頼した場合でも、この監督人報酬は発生しますので、ランニングコストとして把握しておく必要があります。
死後の事務手続きの限界
任意後見契約は、本人の死亡と同時に効力を失うため、葬儀や埋葬、遺品整理、公共料金の解約といった死後の事務手続きを任意後見人に依頼することはできません。死後の事務に備えるためには、別途「遺言」や「死後事務委任契約」といった制度を組み合わせる必要があります。
専門家へのご相談を

障害のあるお子さんを持つ親御さんや兄弟姉妹にとって、「なき後」の不安は計り知れません。しかし、任意後見制度を今から検討し、準備を進めることで、その不安を「未来への贈り物」に変えることができます。お子さんが安心して生活できる基盤を、ご家族自身の意思で築いていくことができるのです。
任意後見契約の作成には、お子さんのライフプランを慎重に立て、代理権の範囲を明確にするなど、専門的な知識と経験が必要です。また、遺言書と組み合わせることで、より万全な対策を講じることが可能です。
行政書士として、伊丹市周辺(伊丹・尼崎・西宮・宝塚・川西)にお住まいの皆様の「親亡き後問題」に関するご相談を承っております。お子さんの状況やご家族の希望に合わせた最適なプランをご提案し、将来にわたる安心をサポートいたします。お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。





