「親亡き後」の不安解消:障害のある子のための見守り・財産管理

障がい_亡き後_財産管理_見守り 障がい・親なき後の備え

障害のあるお子さんを持つ親御さんやそのご家族の多くは、深い愛情と同時に「私がいなくなったら、この子は一体どうなるのだろうか」という漠然とした不安を抱えていらっしゃることと思います。これを「親なき後問題」「なき後問題」と呼びますが、この問題への対策は、決して画一的なものではありません。

今回は、成年後見制度といった広範な枠組みだけでなく、もっと日々の生活に寄り添い、段階的に未来を支えることができる「財産管理委任契約」「見守り契約」「日常生活自立支援事業」という三つの制度に焦点を当て、伊丹市周辺(伊丹・尼崎・西宮・宝塚・川西)にお住まいの親御さんやご家族に、お子さんのより良い未来を築くための、一歩踏み込んだヒントをお届けします。

これらの制度は、お子さんの「今」と「未来」の安心を、より柔軟かつきめ細やかにサポートするための重要な選択肢となります。

日常生活を支える確かな基盤:日常生活自立支援事業

障がい_日常生活自立支援事業

まずご紹介するのは「日常生活自立支援事業」です。これは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者などで判断能力が不十分な方が、地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助などを行う公的な事業です。

メリット:日々の安心と福祉の橋渡し

  • 身近な生活支援
    福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理(預金の出し入れなど)、重要書類の預かりサービスが主な援助内容です。

  • 地域密着のサポート
    都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となり、市町村の社会福祉協議会などが窓口業務を担っています。伊丹市周辺でも、地域の社会福祉協議会を通じて利用できます。

  • 経済的負担の軽減
    相談は無料で、生活保護受給世帯の利用料も無料となる場合があります。一般的な利用料は自治体により異なりますが、月1,000円程度と、経済的な負担が少ないのが特徴です。

デメリット・限界:法的な行為には制限も

  • 限定された支援範囲
    不動産の売却や遺産分割協議といった複雑な法律行為には携わることができません。あくまでも「支援」が中心であり、本格的な代理権を持つわけではありません。

  • 契約能力の必要性
    利用対象者は、判断能力が不十分ながらも、契約内容を理解し、契約する能力がある方とされています。

暮らしを支える安心の土台

この事業は、お子さんがまだ比較的安定した生活を送れており、日常的なサポートがあれば自立した生活が維持できる段階で、非常に有効な「暮らしを支える安心の土台」です。いきなり成年後見制度のような包括的な支援ではなく、まずは身近な生活の土台を固めるための第一歩として検討する価値があります。お子さんの判断能力の変化を見守りながら、将来のより手厚い支援への移行をスムーズにするための準備期間としても活用できるでしょう。

財産を「今」から「未来」へ:財産管理委任契約

障がい_財産管理

次に「財産管理委任契約」についてです。これは、ご自身の財産の管理や、法律行為その他の事務を、ご自身で選んだ代理人に委任する契約です。成年後見制度と異なり、精神上の障害の有無にかかわらず利用できます。

メリット:柔軟な財産管理と安心感

  • 高い自由度
    契約の内容や開始時期を自由に設定できます。例えば、判断能力が低下していなくても、身体が不自由で銀行に行くのが難しいといった場合に、すぐに財産管理を任せることができます。
  • 特定の財産に特化
    財産管理のすべてを任せるだけでなく、不動産の管理のみ、あるいは特定の預金口座のみの管理を委任することも可能です。
  • 親御さん自身の備えにも
    親御さんご自身が、もしもの時に備えてお子さんの生活費の定期的な支給を盛り込むなど、ご自身の財産管理として利用することもできます。

デメリット・注意点:信頼関係の重要性

  • 公的監督の不在
    任意後見制度と異なり、家庭裁判所の監督がありません。そのため、受任者(財産を管理する人)が不適切に財産を扱うリスクがゼロではありません。
  • 信頼性への懸念
    公的な信頼度が低いため、銀行や法務局などで取引に応じてもらえない事例もあることに注意が必要です。
  • 公正証書での作成推奨
    契約の有効性を確実にし、将来のトラブルを避けるためにも、公正証書で作成することが強く推奨されます。

家族の絆を育む「財産のリレー」

財産管理委任契約は、単なる財産の管理にとどまらず、親御さんがお子さんの未来のために築き上げてきた財産を、信頼できる人に託す「財産のリレー」と捉えることができます。公的な監督がない分、お子さんや家族にとって最も信頼できる人、あるいは士業などの専門家と契約することで、柔軟な支援を構築できます。特に、ご家族との関係性を重視し、きめ細やかな財産管理を望む方には検討していただきたい制度です。

「もしも」に気づく眼差し:見守り契約

障がい_見守り

三つ目は「見守り契約」です。これは、行政書士などの専門家が、定期的に安否や体調の確認を行うとともに、ご本人の生活や財産管理についてアドバイスをする契約です。

メリット:早期発見と安心感

  • 日常の「見守り」
    定期的な訪問や電話、メールなどで安否や健康状態、生活環境の確認を行います。

  • 悪質商法からの保護
    高齢者や障がい者の方は悪質商法の被害に遭いやすいため、定期的な接触によって、早期に被害に気づき、未然に防ぐことができます。

  • 次の一歩を見極める
    将来的に任意後見制度の利用を検討している場合、本人の判断能力が低下したタイミングを見極める上で非常に重要です。

  • 信頼関係の構築
    契約期間中に、将来の任意後見人となる候補者と定期的にコミュニケーションを取ることで、信頼関係を深め、その人の適性を見極める貴重な機会となります。

デメリット・限界:単独では完結しない

  • 直接的な代理権なし
    見守り契約自体は、直接的な財産管理や法律行為の代理を行うものではありません。

  • 他の契約との併用が必須
    見守り契約を単独で利用するだけでは不十分なため、財産管理委任契約や任意後見契約、死後事務委任契約などと組み合わせて、包括的なサポート体制を築くことが一般的です。

寄り添う眼差しが紡ぐ「安心の生活」

見守り契約は、お子さんの日常に「人間センサー」を配置するようなものです。お子さんが孤立することなく、もしもの変化に誰かが気づいてくれるという安心感は、親御さんにとってもお子さんにとってもかけがえのないものです。この「安心」を紡ぐことで、他の財産管理や法的な支援が、最も適切なタイミングで、最も適切な形でスタートできる準備が整います。伊丹市周辺で、離れて暮らすお子さんの安否が気になる、あるいは身近に頼れる人が少ないとお考えの親御さんには、ぜひご検討いただきたい制度です。

いまから考える「任意後見」という選択

これら三つの制度は、お子さんの状況や変化に応じた柔軟なサポートを提供しますが、長期的な視点で見ると「任意後見制度」の検討は不可欠です。

任意後見制度は、本人の判断能力があるうちに、将来の財産管理や生活支援を任せる人を自分で選び、その内容を契約しておく制度です。

なぜ「今」任意後見を検討するのか

  • 「自分で選べる」安心感
    法定後見制度では家庭裁判所が後見人を選任しますが、任意後見制度では、親御さんが元気なうちに、お子さんにとって最も信頼できる人(親族、友人、弁護士・司法書士・社会福祉士行政書士などの専門家)を任意後見人として指名できます。

  • 「思い通りに設計できる」未来
    介護サービスの契約や医療に関する契約など、本人の生活や監護療養に関する支援の内容を、事前に親御さんの意思を反映させて具体的に決めておくことができます。

  • 「空白期間」を埋める連携
    見守り契約や財産管理委任契約と組み合わせることで、任意後見契約の効力が発生するまでの「空白期間」もカバーし、切れ目のない支援体制を構築できます。

  • 「地域で支える」未来
    親御さんが「親亡き後」のお子さんの生活を地域で支えていくことを考える際、社会福祉士・行政書士などの専門家が任意後見人となることで、地域連携ネットワークの一員としてお子さんの生活をサポートすることも可能です。

任意後見制度は、親御さん若しくはお子さんが意思能力を有している場合にのみ契約可能であり、判断能力が著しく低下してしまってからでは利用できません。だからこそ、親御さんご自身が元気で、お子さんの将来について具体的に考えられる「今」が、任意後見契約を検討する最適なタイミングなのです。

伊丹市の行政書士・社会福祉士として、皆さんの未来をサポート

障がい_未来

障害のあるお子さんの将来を考えるとき、様々な制度や手続きが複雑に絡み合います。今回ご紹介した「財産管理委任契約」「見守り契約」「日常生活自立支援事業」、そして「任意後見制度」は、それぞれ異なる強みを持ち、組み合わせることでより盤石なサポート体制を築くことができます。

私たち行政書士は、これらの契約内容の作成支援から、公正証書作成のためのサポート、さらには継続的な見守りや財産管理の相談まで、多岐にわたるお手伝いが可能です。ご家族の状況やお子さんの個性に合わせて、最適なプランを一緒に考え、その実現をサポートします。

「もしも」の不安を「安心」に変えるための一歩を踏み出してみませんか。お気軽にご相談ください。

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