生活保護の申請をためらうあなたへ

生活保護_ためらう 生活保護・福祉制度

行政書士・社会福祉士として、皆さんが抱える生活の苦しみに寄り添い、お話しを伺う中で、「もし生活保護の申請について、もっと早く知っていれば…」「一人で悩まずに相談していれば…」と感じる方がたくさんいらっしゃいます。 生活保護は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を送るための、国が設けた大切なセーフティーネットです。決して特別な人が利用する制度ではなく、誰もが「いざ」という時に頼れるものです。

「自分は生活保護なんて受けられないだろう」と諦めてしまう前に、ぜひこのブログ記事を読んで、一人で悩まずに相談する一歩を踏み出してほしいと願っています。

生活保護は「国民の権利」です

生活保護_憲法

生活保護制度は、病気やケガで働けなくなった、高齢や障害で経済的に困窮しているなど、様々な事情で生活に困った方々に対し、国が最低限の生活を保障する制度です。生活保護を必要とする可能性は誰にでもあり、ためらわずに相談・申請できる「国民の権利」です。

「生活保護を利用するには厳しい条件があって大変なのでは?」と考える人も多いかもしれませんが、本来はとてもシンプルなものです。厚生労働省が定める基準で決められる「最低生活費(生活するために最低限必要な費用で地域差があります)」よりもあなたの世帯の収入が低ければ、その差額が生活保護費として支給されます。収入がない場合は最低生活費と同額が支給されます。

誤解や偏見に惑わされないでください

生活保護制度には、残念ながら誤解や偏見が根強くあります。しかし、これらに囚われて、本当に支援が必要な方が制度を利用できない現状があります。

「親族が援助を強制されるのでは?」という心配

「親や子どもなどに迷惑をかけたくない」と考えて申請をためらう方が多くいらっしゃいますが、大丈夫です。親族の援助(扶養)は、生活保護の必須要件ではありません

法律では「扶養は保護に優先する」とされていますが、これは「実際に仕送りがあったらその分だけ保護費を減らす」という意味にすぎません。援助(扶養)を強制されることはありません。

申請されたら役所は親や兄弟姉妹に、援助が可能か問い合わせ(扶養照会)をしますが、この援助は強制ではないです。できる範囲ですればよいのです。親族は金銭面や気持ち的な面で援助することが出来ない場合には断ることができます。また、DVや虐待の疑いがある場合や、その問い合わせ(扶養照会)によって身の危険が生じる場合、未成年者や70歳以上の高齢者など、扶養が期待できない場合は扶養照会を行わないこともあります。親族が援助を断っても生活保護は利用できます。

「不正受給が多い」という報道について

テレビなどを見ていると、不正受給が横行しているかのような印象を受けることもあるかもしれませんが、そのようなケースはごくわずかな例外です。実際、不正受給額の割合は1%にも満たない程度です。むしろ、生活保護の利用資格がある世帯(所得が最低生活費に満たない世帯)の約80%は利用していないのが現状です。日本は先進国の中でも生活保護の利用率が非常に低いことが示されています。

生活保護を利用できるかの判断基準

生活保護_条件

生活保護の受給条件は以下の5つが基本です。

①収入が厚生労働省の定める最低生活費を下回っていること。

働いていても、給料が最低生活費以下であれば、足りない分が支給されます。

※最低生活費は住んでいる所や世帯構成などによっても変わります。
単独世帯であれば、10~13万円程度でしょうか。(あくまでも目安です)

②病気などの事情により働くことが困難であること

若く健康な人でも、仕事を探しても見つからなければ生活保護を利用できます。

その場合は生活保護を利用しながら就労支援を受けることも検討できます。

③土地などの利用し得る資産を所有していないこと。

  • 持ち家:持ち家(自宅)があっても生活保護が受けられる場合もあります。ただし、住宅ローンを払い続けることは原則できません。

  • 自動車:原則として自動車の利用は認められませんが、障害者や公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住む人については、通勤、通院等のために利用する場合に限って認められる余地があります。現在は、通勤や通院等のために保有が認められている場合は、日常生活に必要な買い物等での自動車の利用も認められるケースが拡大している。

  • 貯金:すぐに換金できる資産がないこと、という条件はありますが、預貯金は最低生活費の半額以下であれば所有が認められる場合があります。
    ※自治体の考え方や状況にもよると思われますので、自己判断で決めずに担当のケースワーカー(福祉事務所)に相談してください。

④年金や国の他の制度を利用した上で生活が困難であること

年金、傷病手当金、労災保険、雇用保険、児童手当、児童扶養手当などがあっても最低生活費以下の額であれば、足りない分が支給されます。年金と生活保護は同時に受給することも可能です。

⑤親族などから支援を受けられず生活が困難であること

役所は親族に対して援助が出来ないかと問い合わせはしますが、強制は出来ません。親族は金銭面や気持ち的な面で援助することが出来ない場合には断ることができます。

申請をためらわないで!申請のステップと専門家の活用

生活保護の申請は、現在住んでいる場所(居住地)の福祉事務所で行います。住民票を他の市町村に置いていても問題ありません。住所不定でも問題ありません。

①相談・申請

地元の役所(生活保護担当部署)や福祉事務所で「生活保護を申請します」と明確に伝えましょう。正式な申請書に記入が出来れば一番良いですが、口頭の申請も認められるとする判例もありますし、必要事項が記載されていればご自身で用意した申請書を持参しても構いません。

「生活保護を申請します!」と「申請」の意思を明確に伝えることが大切です。「相談」ではなく「申請」であることを明確に伝えます。

市町村・福祉事務所は申請を拒否することはできないのです。申請は必ず受理しなければなりません。

②調査

申請後、家庭訪問、資産調査、扶養照会が行われます。通帳、賃貸借契約書、年金手帳、印鑑、健康保険証、給与明細書などの用意を求められますが、これらが無くても申請は出来ます。

③決定

申請から原則14日以内(最長30日以内)に決定が通知されます。保護が開始されれば、申請日にさかのぼって保護費が支給されます。

申請時の「水際作戦」に注意!

役所の窓口で「まだ若いから働けるでしょ?」「家族に援助してもらえないの?」「借金があると申請できないよ」などと言われて申請をさせてもらえない、いわゆる「水際作戦」が行われることがあります。これは違法な行為です。

市町村・福祉事務所は申請を拒否することはできないのです。申請は必ず受理しなければなりません。

もし申請窓口で追い返されたり、不当な「助言」や「指導」を受けたりしても、決して諦めないでください。

困った時は専門家と一緒に

生活保護_相談

このような状況で、行政書士、社会福祉士などの専門家があなたの強力な味方になります。

申請のサポート

申請手続きの不安を軽減し、必要な書類の準備、面談での適切な説明を支援します

「水際作戦」への対応

専門家が同行することで、窓口の違法・不当な対応を指摘し、申請者の心身の負担を軽減できます

複雑な状況の解決

借金がある場合(自己破産が有力な選択肢となることが多い)、遺産相続の可能性がある場合、病気や障害がある場合など、個別の事情に応じて適切なアドバイスとサポートを受けることが出来ます。

法テラス

経済的困難がある方には、法テラス(日本司法支援センター)による無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立て替え制度があります。生活保護受給者は費用償還免除(申請要)となる可能性もあります。

生活に困窮されている方へ

生活保護_安心

伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市など、この地域にお住まいの方も、もし生活に困窮し、生活保護の申請を検討されているのであれば、一人で抱え込まず、ぜひお近くの福祉事務所へご相談ください。

そして、一人での申請に不安がある方や、福祉事務所で申請させてもらえなかった方などは是非当事務所のような専門職へご相談ください。

「その日の食事にも困っている」ような切迫した状況であれば、すぐに福祉事務所に連絡し「次の食事を用意するお金もありません。助けてもらえないと、食べることができません」とはっきりと伝えましょう。食糧支援や貸付金を受けられる可能性があります。

何も引け目に感じることもないですし、恥ずかしいなどと思うこともありません。 生活保護は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を送るための、国が設けたセーフティーネットです

ためらわずに、まずは相談の一歩を踏み出してください。

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