「再婚家庭」のための遺言書:子どもたちの「争族」を未然に防ぐ、後悔しない相続対策
家族の形が多様化する現代において、再婚家庭は珍しくありません。そこには新たな絆と愛情が育まれますが、万が一の際に「相続」という問題が持ち上がると、予期せぬトラブル、いわゆる「争族」に発展してしまうことがあります。特に、前配偶者との間にお子さんがいる場合、相続はさらに複雑になりがちです。
当事務所には、「新しい家族」の中で、大切な子どもたちが将来争うことのないよう、どのような準備をすれば良いかというご相談が寄せられます。このブログ記事では、再婚家庭における遺言書の重要性と、子どもたち(前配偶者との子、現配偶者との子)の間のトラブルを防ぎ、家族が安心して暮らせる未来を築くための遺言書作成のポイントについて、詳しく解説します。
なぜ再婚家庭に遺言書が不可欠なのか?
遺言書がない場合、民法で定められた「法定相続」のルールが適用され、遺産は相続人全員の共有状態となります。この状態を解消するためには、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必要になります。再婚家庭において、この手続きが特に問題となる理由は以下の通りです。
- 複雑な相続関係と遺産分割の難航
◦ 前配偶者との間のお子さんも法定相続人です。たとえ長年連絡を取っていなかったとしても、彼らには相続の権利があり、遺産分割協議には全員の参加と合意が不可欠です。◦ 関係性が希薄な親族間では、連絡先の把握が困難であったり、感情的な対立が生じたりすることが少なくありません。これにより、話し合いが滞り、遺産分割が何ヶ月、何年にもわたって進まない事態に陥ることがあります。最悪の場合、家庭裁判所での調停や審判といった法的手段に頼らざるを得なくなることもあります。
- 感情的な対立による「争族」のリスク
◦ 遺言書がない相続では、相続人それぞれの希望や主張が対立しやすく、遺産を巡る「争族」に発展する可能性が高まります。再婚家庭では、血の繋がりのない家族間や、長年の関係性がない相続人との間で、特に感情的な摩擦が生じやすい傾向があります。◦ 遺産の金額がそれほど大きくなくても、揉め事は起こることが知られており、裁判所に持ち込まれる遺産分割事件の多くは、遺産総額が5,000万円以下、1,000万円以下のケースも少なくありません。
遺言書がもたらす「安心」:再婚家庭の相続を円滑に

遺言書を作成することで、再婚家庭における相続を円滑に進め、残されたご家族に大きな安心をもたらすことができます。
- 明確な意思表示によるトラブル回避
◦ 遺言書は、「誰に」「どの財産を」「どれだけ」遺すかを明確に指定できる唯一の法的手段です。これにより、相続人同士の話し合いが原則として不要となり、遺産分割を巡る争いを未然に防ぐことができます。
- 相続手続きの円滑化
◦ 遺言書があれば、原則として、相続人全員の実印や印鑑証明書なしに、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きを進めることが可能になります。これは、手続きの時間的・精神的負担を大幅に軽減し、残されたご家族がスムーズに財産を承継できるようにします。
- 特別な人への財産承継
◦ 法律上の婚姻関係にない内縁の配偶者や、介護などでお世話になったご親族以外の第三者には、遺言書がなければ財産を遺すことができません。遺言書によって、感謝の気持ちを込めて特定の財産を遺すことが可能になります。
- 事業承継の確実性
◦ 会社経営者や個人事業主の場合、事業に必要な財産(株式など)を次の後継者に確実に引き継がせるためには、遺言書で明確に指定する必要があります。遺言がなければ、事業の継続が困難になるリスクがあります。
- 遺留分への配慮(重要性)
◦ 遺言書で財産の分け方を指定したとしても、配偶者、子、父母といった特定の法定相続人には「遺留分」という最低限の相続分が法律で保障されています。ただし、兄弟姉妹には遺留分がありません。◦ もし遺言の内容が遺留分を侵害している場合、侵害された相続人は金銭の請求(遺留分侵害額請求)を行うことができます。この点を考慮し、遺留分に配慮した遺言を作成することが、将来的なトラブル防止の鍵となります。
再婚家庭におすすめの遺言書の種類:公正証書遺言
遺言書には、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。再婚家庭の場合、特に公正証書遺言の作成を強くお勧めします。
- 自筆証書遺言のメリットとデメリット
◦ メリット: 自分で手軽に作成でき、費用がかかりません。◦ デメリット: 形式不備で無効になるリスクが高く、紛失、改ざんのリスクもあります。また、原則として家庭裁判所での「検認」手続きが必要となり、相続手続きの開始が遅れる可能性があります。
- 公正証書遺言のメリット
◦ 高い確実性: 公証人が関与して作成するため、形式不備で無効になる心配がほとんどありません。また、病気などで手が不自由な場合でも作成可能です。
◦ 紛失・改ざんの心配がない: 原本は公証役場に厳重に保管されるため、紛失や改ざんの心配がなく、遺言書が発見されないという事態も防げます。
◦ 検認手続きが不要: 相続発生後の家庭裁判所での「検認」手続きが不要なため、速やかに相続手続きを開始できます。
◦ 専門家のチェック: 公証人が法的観点から内容をチェックしてくれるため、内容が不明瞭であったり、法律的に問題のある表現になったりするリスクが低減されます。
◦ 費用(数万円から十数万円程度)や証人2名の立ち会いは必要ですが、再婚家庭における相続の複雑さやトラブル回避の重要性を考慮すると、公正証書遺言の選択は非常に賢明です。
再婚家庭の遺言書に含めるべき工夫
再婚家庭の遺言書は、単に財産を分配するだけでなく、家族の感情に配慮し、将来の不和を防ぐための工夫が求められます。
- 具体的な財産特定と漏れの防止
◦ 不動産は登記簿謄本通りの地番や家屋番号で、預貯金は銀行名、支店名、口座種別、口座番号まで正確に記載することが重要です。ただし、細かく書きすぎると、口座残高の変動などで遺言執行が難しくなる場合もあるため、「残った預金は全て〇〇に」包括的な指定も組み合わせて記載し、財産の漏れがないように配慮しましょう。
- 付言事項の活用
◦ 遺言書には、なぜそのような財産配分にしたのか、ご自身の家族への感謝のメッセージや想いなどを「付言事項」として記載することができます。付言事項自体に法的効力はありませんが、残された家族が遺言の内容を理解し、納得する上で非常に重要であり、感情的な対立を和らげる効果が期待できます。
- 遺言執行者の指定
◦ 遺言の内容をスムーズかつ確実に実現するため、「遺言執行者」を指定しておくことを強くお勧めします。
◦ 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理、名義変更、預貯金の払い戻しなどの一切の行為を単独で行う権限を持ちます。特に、子の認知や相続人の廃除(相続権を奪うこと)を遺言で行う場合は、遺言執行者しか手続きができません。
◦ 相続人や親族を指名することも可能ですが、手続きの複雑さや他の相続人との関係性を考慮すると、行政書士などの第三者の専門家を指定することが望ましいでしょう。専門家は中立的な立場で手続きを進め、予期せぬトラブルを防ぎます。意識的に指定することが重要です。
当事務所(行政書士事務所)が提供できるサポート

再婚家庭における遺言書作成は、単に形式的な要件を満たすだけでなく、複雑な家族関係や感情的な側面、さらには将来起こりうる法的な問題を多角的に考慮する必要があります。
当事務所(ことのは行政書士・社会福祉士事務所)は、相続に関する専門知識と経験に基づき、お客様一人ひとりのご状況に合わせた最適な遺言書作成をサポートいたします。
- お客様のご意向の丁寧なヒアリング: どのような家族構成で、誰に、どのような財産を遺したいのか、お客様の細かなご希望やお気持ちを丁寧にお伺いします。
- 適切な遺言書内容のアドバイス: 法的な効力を持ち、かつトラブルを未然に防ぐための具体的な内容や表現についてアドバイスいたします。特に、遺留分への配慮や、付言事項を効果的に活用する方法についてもご提案します。
- 公正証書遺言の作成サポート: 公証人との連携を含め、公正証書遺言の作成手続きを全面的にサポートいたします。これにより、無効になるリスクを極限まで減らし、安全で確実な遺言書が作成できます。
- 遺言執行者のご提案: 必要に応じて、中立的な立場での遺言執行者として当事務所の専門家を指定いただくことも可能です。これにより、遺言内容がお客様の意図通りに、滞りなく実現されるようお手伝いいたします。
「まだ元気だから大丈夫」「時期尚早ではないか」と思われる方もいらっしゃいますが、遺言書はご自身の意思能力が十分にある「元気なうち」に作成することが何よりも重要です。不慮の事故や病気、認知症などにより、意思表示が困難になってからでは、有効な遺言書を作成できなくなる可能性が高いです。
大切なご家族が、ご自身の死後に「争族」で苦しむことのないよう、そしてお客様の「最後の想い」が確実に実現されるよう、ぜひ一度当事務所にご相談ください。初回無料相談も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。




