子どものいない夫婦こそ遺言を準備すべき理由

夫婦での遺言作成 遺言・相続

「うちは大した財産がないから」「家族仲が良いから」といった理由で遺言書作成を考えていないご夫婦は少なくありません。しかし、特にお子さんのいないご夫婦にとって、遺言書は残された配偶者を守るための非常に重要な手段となります。万が一の時に、大切な方を困らせないために、なぜ遺言書が必要なのか、どのように準備すれば良いのかを行政書士の立場から分かりやすく解説します。伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市周辺にお住まいの皆様も、ぜひご一読ください。

※遺言書の種類や必要性など、全体像に関しては下記の記事をご覧ください。

なぜ子どもがいない夫婦に遺言書が必要なのか?

遺言書がない場合、民法で定められた法定相続人が、法定相続分に従って遺産を受け取ることになります。お子さんがいない夫婦の場合、配偶者の他に、亡くなった方の両親や兄弟姉妹、さらには甥や姪が法定相続人となります。

遺言書がない状態で相続が発生すると、不動産や預貯金の名義変更、解約手続きには原則として相続人全員の同意と実印、印鑑証明書が必要になります。

このとき、以下のような問題が生じることがあります。

  • 遺産分割協議の難航
    顔を合わせる機会の少ない義理の親族や、疎遠な兄弟姉妹、甥姪と話し合いをまとめることは、非常に困難な場合が多々あります。話し合いがまとまらないと、相続手続きが何ヶ月、何年と停止し、最悪の場合は裁判所に持ち込まれることにもなりかねません。

  • 配偶者の生活への影響
    遺産分割協議が長引けば、残された配偶者が亡くなった方の預貯金を使えなくなり、生活に支障をきたす可能性もあります。

近年、遺産分割をめぐる家庭裁判所での事件数は増加傾向にあり、「うちは大丈夫」と思ってもトラブルに発展するケースは少なくありません。

遺言書がもたらす安心とメリット

遺言作成 安心

有効な遺言書があれば、上記のような問題を未然に防ぎ、残された配偶者に大きな安心をもたらします。

遺言書を作成する主なメリットは以下の通りです。

  • 配偶者への財産承継の確実化
    遺言書により、「妻(または夫)にすべての財産を相続させる」旨を明記しておけば、配偶者が単独で不動産の登記や預貯金の解約・払い戻しなどの相続手続きを進めることが可能になります。これにより、他の相続人の同意や実印、印鑑証明書は不要となり、手続きが格段にスムーズになります。

  • 「争族」の回避
    遺言書は、相続人間での争いを未然に防ぐための非常に効果的な方法です。法定相続分とは異なる配分を希望する場合でも、遺言者の明確な意思表示があれば、相続人の納得を得やすくなります。

  • 遺言執行者の指定
    遺言書で遺言執行者を指定しておくことで、相続手続きを円滑に進めることができます。遺言執行者は、遺言の内容を実現する役割を担い、預貯金の解約や不動産の名義変更などを単独で行うことができます。相続人が遺言執行者になることも可能ですが、士業などの第三者に依頼されることをお勧めします。

  • 付言事項で気持ちを伝える
    遺言書には、財産の分け方だけでなく、家族への感謝の気持ちや、財産の配分に関する理由などを「付言事項」として記載することができます。これは法的な効力を持たないメッセージですが、残された家族が遺言者の真意を理解し、納得して相続手続きを進める上で大きな役割を果たします

遺言書の種類と賢い選び方

遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

【メリット】

  • 費用がかからない:紙とペンと印鑑があれば、手軽に作成できるため、費用を抑えられます。
  • 内容を秘密にできる:誰にも内容を知られずに作成・保管が可能です。

【デメリット】

  • 無効になるリスクが高い:法律で定められた厳格な要件(全文の自書、日付、氏名の自書、押印など)を満たさないと無効になる可能性が非常に高く、内容が曖昧だと手続きに使えないこともあります。
  • 紛失・偽造・隠匿のリスク:原則として本人が保管するため、紛失したり、悪意のある第三者によって偽造・隠匿されたりするリスクがあります。
  • 「検認」手続きが必要:相続発生後、家庭裁判所での「検認」手続きが原則として必要となり、手続き開始までに時間がかかります。検認は遺言書の有効性を判断するものではない点に注意が必要です。

なお、2020年7月からは法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる制度が始まりました。この制度を利用すると、紛失や偽造のリスクを防ぎ、検認手続きも不要になります。しかし、法務局は遺言書の内容の有効性までは審査しませんので、内容に不備があるまま保管されてしまう可能性がある点には注意が必要です。

2. 公正証書遺言

【メリット】

  • 高い有効性:公証人が関与して作成するため、形式不備による無効のリスクはほとんどありません
  • 保管の安全性:原本は公証役場に厳重に保管されるため、紛失や偽造、隠匿の心配がありません。遺言者が120歳になるまで保管されるのが一般的です。
  • 「検認」手続きが不要:相続発生後、家庭裁判所での検認が不要なため、速やかに相続手続きを進めることができます
  • 専門家による作成:公証人が法的な言い回しで文書を作成するため、自分で文章を組み立てる必要がありません。筆記が困難な場合でも作成可能です。

【デメリット】

  • 費用がかかる:公証役場への手数料がかかります。遺産額や受取人の人数によって異なりますが、数万円から十数万円程度が目安です。
  • 証人が必要2人以上の証人の立ち会いが必要です。相続人や受遺者、その配偶者・直系血族などは証人になれません。
  • 内容が知られる:公証人や証人に遺言の内容が知られます。

作成に時間がかかる:事前の相談や書類収集、公証人との調整が必要なため、完成までに数週間から数ヶ月を要することがあります。

 

行政書士からの推奨:公正証書遺言のすすめ

当行政書士事務所では、公正証書遺言の作成を強くお勧めしています。その確実性と安全性の高さは、残された配偶者の負担を大幅に軽減し、「争族」を未然に防ぐために最も有効な手段であるからです。

費用や手間はかかりますが、後々のトラブルによって発生する時間的・精神的・金銭的コストを考えれば、公正証書遺言は費用対効果が高いと言えるでしょう。

もし、費用を抑えたい、あるいは緊急性が高いなどの理由で自筆証書遺言を選ぶ場合は、必ず法務局の保管制度を利用し、内容の不備がないか専門家によるチェックを受けることをお勧めします。

 

行政書士などの専門家へ相談するメリット

遺言書は、単に紙に意思を書き残せば良いというものではありません。法律に則った形式と内容が求められます。特に、お子さんのいないご夫婦のように、複雑な相続関係が想定される場合には、専門家のサポートが不可欠です。

行政書士などの専門家にご相談いただくメリットは以下の通りです。

  • 遺言書の有効性確保
    士業などの専門家は、遺言書が無効とならないよう、形式面・内容面の両方から適切なアドバイスを提供し、作成を支援します。
  • 将来のトラブルを未然に防止

    遺留分(相続人に保証されている最低限の取り分)など、将来トラブルになり得る要素を考慮した内容を提案し、「争族」を防ぐための付言事項の作成もサポートします。

  • 財産特定を正確に
    不動産の地番や家屋番号、預貯金の口座情報など、財産を正確に特定するための記載について助言します。曖昧な記載は、後々手続きの支障となります。
  • 個別事情への対応
    ご夫婦の資産状況やご希望、また特別な配慮が必要な家族がいる場合など、個々の事情に合わせたオーダーメイドの遺言書作成を支援します。
  • 地域密着のサポート
    当事務所は伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市周辺で地域に根差した行政書士事務所として、皆様のご相談に親身に対応いたします。

まとめ

お子さんがいないご夫婦にとって、遺言書は愛する配偶者の生活と、残されたご家族の平穏な関係を守るための、何よりの贈り物となります。

「まだ早い」と思わずに、元気で判断能力がしっかりしているうちに、遺言書作成をご検討ください。遺言書はいつでも、何度でも書き直しが可能なので、将来の状況変化にも対応できます。

当行政書士事務所では、お子さんのいないご夫婦の遺言書作成もサポートしています。皆様のご状況に合わせて最適なプランをご提案いたします。伊丹市周辺にお住まいの皆様、まずはお気軽にご相談ください。専門家として、皆様の大切な想いを形にするお手伝いをさせていただきます。

 

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