【事例で解説】子どもがいない夫婦の相続:配偶者と兄弟姉妹の法定相続分計算と行政書士がサポートできること
「まさか自分より先に夫(妻)が亡くなるなんて…」 もしもの時に、残されたご家族が困らないために、ご自身の財産がどのように分けられるかをご存じでしょうか?特に、お子さんのいないご夫婦の場合、相続の仕組みは少し複雑になりがちです。
今回は、お子さんのいないご夫婦をテーマに、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースでの法定相続分の計算方法、そして、円滑な相続手続きのために私たち行政書士がどのようにサポートできるかについて、具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。
お子さんのいないご夫婦の相続はなぜ複雑になりやすいのか

一般的に、相続人となるのは故人の配偶者と子どもです。しかし、お子さんのいないご夫婦の場合、状況は異なります。
民法では、配偶者は常に相続人となりますが、そのほかの相続人には優先順位が定められています。
第一順位:子ども
子どもが先に亡くなっている場合は孫などの直系卑属が代襲相続人となります。
第二順位:父母
父母が先に亡くなっている場合は祖父母などの直系尊属が相続人となります
第三順位:兄弟姉妹
兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥や姪が代襲相続人となります。
お子さんがいないご夫婦の場合、第一順位である子どもがいないため、第二順位の父母が相続人となります。もし父母も既に亡くなっている場合は、第三順位である兄弟姉妹が相続人となるのです。
お子さんのいないご夫婦の場合、配偶者に加えて、故人の父母や兄弟姉妹、さらには甥や姪といった、日頃あまり交流のない親族が相続人となる可能性があり、これが相続手続きを複雑にする大きな要因となります。
事例を通して法定相続分を計算してみよう
具体的な事例で、相続分の計算を見ていきましょう。

事例:山田健一さんの相続
山田健一さん(65歳、男性)は、妻の花子さん(63歳)と二人暮らしでした。お子さんはいません。健一さんのご両親はすでに他界されており、健一さんの兄(山田浩さん、70歳)も数年前に亡くなっていますが、浩さんには一人娘の美代さん(35歳)がいます。健一さんには他に、存命の妹である山田陽子さん(60歳)がいます。健一さんは遺言書を残していませんでした。 健一さんが亡くなった後、残された主な財産は以下の通りです。
- 自宅不動産(兵庫県伊丹市)
- 預貯金
- 少額の株式
相続人の確定
このケースにおける相続人は、以下のようになります。
- 配偶者:山田花子さん (常に相続人)
- 健一さんの妹:山田陽子さん (第三順位の相続人)
- 健一さんの姪:美代さん (健一さんの兄、浩さんが先に亡くなっているため、美代さんが代襲相続人となります)
結果として、今回の相続人は、妻の花子さん、妹の陽子さん、そして姪の美代さんの計3名となります。
法定相続分の計算
お子さんのいないご夫婦で、配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合の法定相続分は、民法で以下のように定められています。
- 配偶者:相続財産の4分の3
- 兄弟姉妹 (全員で):相続財産の4分の1

この割合を山田健一さんのケースに当てはめてみましょう。
- 妻・花子さんの相続分: 健一さんの全財産の 4分の3
- 兄弟姉妹(陽子さん、美代さん)の相続分: 健一さんの全財産の 4分の1
次に、兄弟姉妹で分けられる「4分の1」の財産を、陽子さんと美代さんで分け合います。兄弟姉妹が複数いる場合、その相続分は均等に分けられます。
- 山田陽子さんの相続分: (全財産の4分の1) ÷ 2 = 全財産の8分の1
- 美代さんの相続分: (全財産の4分の1) ÷ 2 = 全財産の8分の1
このように、遺言書がない場合、山田健一さんの遺産は、妻の花子さんが4分の3、妹の陽子さんが8分の1、そして姪の美代さんが8分の1という割合で相続されることになります。
遺言書がない場合の相続手続きの「困りごと」

上記の事例のように、遺言書がない場合に相続手続きで直面する主な困りごとは以下の通りです。
(1) 相続人調査が大変になる
お子さんのいないご夫婦の場合、故人の父母や祖父母、さらに兄弟姉妹、そしてその代襲相続人である甥や姪まで、膨大な量の戸籍謄本を収集して相続人を特定する必要があります。これは時間と労力がかかり、非常に複雑な作業です。
(2) 遺産分割協議がまとまりにくい
相続財産の分配については、相続人全員の合意が必要です。一人でも合意しない相続人がいると、手続きはストップしてしまいます。 お子さんのいないご夫婦の相続では、故人の配偶者と、日頃交流のない兄弟姉妹や甥姪が顔を合わせ、感情的な対立が生じることも少なくありません。例えば、今回の事例では、伊丹市に住む花子さんと、妹の陽子さん、そして姪の美代さんという3者が、自宅不動産や預貯金といった財産の分け方を話し合う必要があります。特に、不動産のように分けにくい財産がある場合、話がまとまりにくくなる傾向があります。
(3) 相続手続きが停滞する
遺産分割協議がまとまらないと、不動産の名義変更や預貯金の解約・払い戻しといった手続きができません。最終的には家庭裁判所での調停や審判に発展し、解決まで長い年月と多大な費用がかかる可能性もあります。
(4) 遺留分に関する問題
この事例では、兄弟姉妹が相続人となりますが、兄弟姉妹には「遺留分」が認められていません。遺留分とは、一定の相続人に最低限保障された遺産の取り分のことです。そのため、仮に健一さんが遺言書で「全財産を妻の花子に相続させる」と指定していれば、兄弟姉妹は遺産を一切受け取れないことになり、法律上もこれを覆すことはできません。しかし、遺言書がない場合は法定相続分に従って分けられるため、遺留分がないことで却って「遺言さえあれば…」という不満が生じる可能性もあります。
遺言書を作成しておくことの大きなメリット

これらの「困りごと」を未然に防ぎ、残されたご家族がスムーズに、そして円満に相続手続きを進めるためには、遺言書の作成が非常に有効です。
遺言書には以下のようなメリットがあります。
遺産分割協議が原則不要になる
遺言書に財産の分け方が明確に書かれていれば、相続人全員の話し合いは不要です。例えば、伊丹市の自宅不動産や預貯金、株式といった財産を「全て妻の花子に相続させる」と指定しておけば、花子さんが単独で手続きを進められます。
相続人以外にも財産を渡せる
お世話になった方や団体など、法定相続人以外にも財産を遺したい場合、遺言書があればそれが実現できます。
「争続」を防止できる
遺言書でご自身の意思を明確に伝えることで、相続人間の無用な争いを避けることができます。
遺言執行者の指定
遺言書の中で「遺言執行者」を指定しておくことで、相続手続きを円滑に進めることができます。遺言執行者は、預貯金の解約や不動産の名義変更など、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為を行う権限を持ちます。特に、相続人の中に手続きに非協力的な方がいる場合や、未成年者、判断能力が不十分な方がいる場合に有効です。
相続の専門家「行政書士」のサポートを活用しませんか

遺言書は、ご自身で手書きする「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」が主な種類となります。
自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、形式の不備で無効になるリスクや、紛失・偽造・隠匿のリスク、そして家庭裁判所での検認手続きが必要といったデメリットがあります。
一方、公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため、無効になるリスクが極めて低く、原本が公証役場で保管されるため紛失・偽造の心配もありません。また、家庭裁判所での検認手続きも不要です。費用はかかりますが、確実性を求めるなら公正証書遺言が最もおすすめです。
私たち行政書士は、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成支援、そして遺言書の作成支援を通じて、ご家族の負担を軽減し、円滑な相続手続きをサポートする専門家です。特に、複雑な家族関係や財産構成の場合でも、法的な観点から最適な遺言内容を検討し、不備のない遺言書作成を支援することができます。
例えば、伊丹市、尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市といった地域にお住まいの方々で、
- お子さんがおらず、相続手続きに不安を感じている方
- 複数の相続人がいて、遺産分割協議が難航しそうな方
- 特定の方に特定の財産を確実に遺したいと考えている方
- 遺言書を作成したいが、何から始めてよいか分からない方
このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ行政書士などの相続の専門家にご相談ください。ご自身の想いを形にし、残された大切なご家族が安心して未来を歩めるよう、私たちが全力でサポートいたします。
まとめ

お子さんのいないご夫婦の相続は、配偶者と故人の父母や兄弟姉妹、そして甥や姪が相続人となるため、相続人の確定や遺産分割協議が複雑化しやすいという特徴があります。特に遺言書がない場合、これらの手続きが滞り、ご家族に大きな負担をかける可能性があります。
しかし、遺言書を事前に作成しておくことで、これらの問題を回避し、ご自身の意思を確実に反映した円満な相続を実現することが可能です。確実な遺言書作成とスムーズな相続手続きのためには、ぜひ行政書士にご相談ください。私たち行政書士が、お客様の状況に合わせた最適なサポートを提供し、ご家族の安心をお守りします。





